店主より
縁あって1型糖尿病を患う私が低糖質ケーキを作ることになりました。
誰が食べても安心・安全で、心から幸せになれる
そんなケーキを全身全霊をかけて作り続けていきます。
膵臓の機能不全による1型糖尿病を発症
こんにちは。
Patisserie Le Vertのオーナーパティシエ、高谷です。
私は20代前半で1型糖尿病(膵臓の機能不全により膵臓からインスリンが全く出なくなる病気)を発症し、それ以降は常にインスリン投与と食事療法にて糖質をコントロールしなければならない生活となりました。血糖値の乱高下は生命に関わるからです。
好きな食べ物や飲み物を我慢して、家族にも専用の食事メニューをつくってもらったり、運動や色々な試みも行いました。旅行や宴会でも食事内容や成分を確認したりと、楽しみも半減でした。その後、結婚し子供にも恵まれましたが、その生活はずっと変わりませんでした。
ある年の私の誕生日にケーキを囲んで団欒を過ごしていたところ、ケーキを頬張っていた子供に『パパ、どうして一緒に食べないの?』と聞かれ、返答に困窮したこともありました。
その頃は血糖コントロールも努力していましたが、どうしても仕事柄ケーキを試食しますので、当時のhbA1cは10%~11%と危険な状態でした。
低糖質ケーキへの挑戦と可能性を体感
そんな時、お客様から糖質制限の低糖質ケーキを作れないかとの依頼を受けることになりました。
糖質制限?と思いながらも、それを引き受けた私は、カロリーをそれほど気にせずに、糖質だけ制限すればいいという考えは、到底理解できませんでした。
そこでまずは自分で試してみることに。
砂糖を使用しないケーキを試作し、それを試食した後に自分の血糖値を計測してみることにしました。
試食にはショコラロールの砂糖不使用のものを試作しました。
小麦粉不使用のロールで、九州産生クリームをたっぷり使用した当店の一番人気のロールケーキを低糖質にしたものです。
こちらを4センチの厚さにカットして、そのひと切れを丸ごと食べてみました。
生クリームもバターもたっぷり使ったケーキですから、たとえ砂糖を使わなくても血糖値は当然上がるだろうと予測していたのですが…
一番下【試食前】
いつもはインスリンを投与してから試食するのですが、投与なしで試食してみることに。
二番目【試食後2時間】
本来なら急激にあがるはずが、全く影響なし。
一番上【再計測】
驚きで、もしかしたら計測エラーかもしれないと疑いつつ再計測。
結果は御覧の通り、見事に裏切られました。
食べても血糖値が上昇しないなんて、夢か幻か、そうでなければ何かの魔法なのか。
そんな不思議な感覚と驚きと、それ以上にこのケーキなら子供たちと一緒に食べられるという喜びでいっぱいでした。
その夜の子供たちの笑顔と、妻の安堵した表情と涙を私は一生忘れないでしょう。
糖質制限に悩むたくさんの方に、幸せを感じられるひと時を届けたい…!
もし同じ苦しみで悩んでいる人がいるなら、同じ喜びを味わってほしい。
そのために私達のケーキが役に立つなら、ぜひそのケーキを作りたい。
それは私が自分の病気を初めてよかったと思えた瞬間でした。 その時から寝る間も惜しんで低糖質ケーキの品揃えと品質の向上に全力を注ぎました。
あれから品揃えも増え、味も普通のケーキと比較しても遜色ないものができるようになりました。 それでもまだまだ…
いろんな悩みや理由で、糖質摂取を我慢する方はいると思います。 誰が食べても安心で、安全で、心から幸せになれるそんなケーキを作りたい。 その方の笑顔に少しでも寄り添える、そんな低糖質ケーキを作りたいと思います 。
そして貴方にも苦しみや悩みが驚きと喜びに変わる、そんな魔法にかかって頂きたいと、そう願っています。
パティスリールヴェール
代表 高谷浩史